前回からの続きです。
『天井は、たとえ1cmでも高くしたい。』
音楽ホールとして考えた時、少しでも高さを確保し、音が広がる空間にしたい。
そこで既存の天井を撤去し、一度スケルトンの状態にしました。
リノベーションは、図面だけでは分からないことも多くあります。
梁の位置、天井裏の設備、配管、既存下地……。
まさに、「解体=壊してみないと分からない」世界です。
そして壁も、一度スケルトンに。
仕上げには木質リブ材を採用しますが、その裏側には、壁厚や防音性能を考えた下地が必要になります。
ボードの二重貼り+遮音シート、その上から木質リブ材を施工する構想です。


解体からの細かいチェック。
最上階ではないので、吹付断熱の厚みを確認して天井の高さを決めます。
完成してしまえば見えなくなる部分ですが、
音楽ホールとして大切なのは、むしろこの“見えなくなる仕事”。
また、天井高さを上げたことで、既存の窓とのバランスも変わります。
庭園に面したサッシも高さを取り、デザインそのものを見直すことにしました。
そして、この窓の向こうには——
後ほど登場する、このホールの、『もう一つの主役、庭園』があります。
解体が終わると.....
図面の線が、空間になっていきます。
軽天下地が組まれ、ボードが貼られていくと、
スケルトンだった空間に、少しずつ音楽ホールの輪郭が現れてきます。
客席側には、凹凸をつけた折り上げ天井。
壁面には、落ち着いた木質リブ材。
そしてステージ、間接照明、新しいサッシへ。
構想していた一本一本の線が、職人さんの手によって立体、空間になっていきます。
リノベーション施工中(写真あり)



ただし——
今年の現場は、とにかく暑い。
冷房もまだ使えない工事途中の空間。
連日の猛暑、酷暑の中でも、職人さんたちは黙々と作業を進めてくれました。
華やかな完成写真の裏側には、
こうした職人さんたちの仕事があります。
そして、下地が仕上がると、次は仕上げへ移行。
デザイン性の高い装飾パネル(リブ材)の壁、折り上げ天井と間接照明、ステージ。
そして新しくなった、庭園とをつなぐアール欄間のサッシと、
「披露宴会場」だった空間から、少しずつ「音を奏でる空間」へと、
ここから、ホールの表情が一気に変わっていきます。
つづく

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